発明者の夢やロマンを育むための知財担当者の心構え(1)

一番気をつけなければならないのは、発明者の方で、
特許を取るべき発明が完成しているとは限らないということです。
私が発明者に接して感じることは、この点なのです。

確かに、発明者のイメージでは発明が完成しています。
しかし、発明者が完成していると思っている発明は、
漠然としていることがけっこうあります。
なぜこうなるのか、私は理解できるような気がします。

私は、これからの知財担当者はどうあるべきかについて、
私なりにたくさんの企画やアイデアを持っています。
しかも、それら企画やアイデアは、必ず世の中に役に立つものと強く思っています。
しかし、それを講演で話そうとしたり、文章に書こうとしたりするときに、
なかなか体系化できないことがあります。
そんなとき「自分は何も分かっていないのか」と不安に思ったりすることがあります。

知財担当者が陥りやすいのは、発明者が知財担当者のところ相談に来たときには、
特許を取るべき発明が、完成され体系化されていると思い違いすることです。
この思い違いは、発明者の心を、知財担当者から引き離してしまいます。

発明者は、「知財担当者に話しても、自分の発明をちっとも理解してくれない」
ということになってしまいます。

大切なことは、発明者が、自分の考えたものは、
今までにない素晴らしい発明であると思っているけれど、
具体的にそれがなんであるかをはっきりまとめていないということを理解することです。

このようなときには、発明者を励ましアシストする気持ちが必要になります。
このとき、知財担当者は、特許法や特許庁の取り決めを一切忘れなければなりません。

特許法や特許庁の取り決めは、融通性が全くないコチコチ頭の賜です。
もし、特許法や特許庁の取り決めを前提に発明者に接すれば、
「従来技術は? 発明の効果は? 特許請求の範囲をどうすればいいか?」
と言った質問を連発することになります。

要するに、発明を自分の都合のいい型にはめ込もう、はめ込もうとしてしまいます。

私は、発明者が自分の発明を、夢とロマンを持って生き生きと説明できるように、
知財担当者は努力すべきだと思っています。
そのときに、発明を知財の都合のいいような型にはめ込もうとすれば、
発明者には夢とロマンを語るエネルギーがなくなってしまいます。

発明を法律や特許庁の取り決めにはめ込むのは、本来は、知財担当者の仕事です。

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